自立循環型建築とは

自立循環型建築とは、気候や敷地特性などの建築物の立地条件および使われ方に応じて建物と設備機器の選択に注意を払い、極力自然エネルギーも活用した上で、利用者の快適性や生産性の水準を向上させつつ、省エネルギー基準よりも相当程度高い省エネルギー性能を持ち、おおよそ5年以内に十分実用化できる非住宅建築物をいいます。


自立循環型建築開発の背景

2020年10⽉の国会演説において⾸相は、「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を⽬指す」と宣⾔しました。この2050年の脱炭素社会の実現を⽬指す⽅針に、建築物分野としても対応していくにあたり、新規の建材・設備機器単体、もしくはその組合せの設計⼿法を対象として、省エネ効果を発揮するメカニズム、それを裏付ける理論及びデータの整備を進め、省エネルギー性能向上のための選択肢を拡充することが必要です。
自立循環プロジェクトは住宅からスタートしたプロジェクトになりますが、2015年より業務用建築についての研究もスタートさせ、2020年に建築物省エネルギー法に基づく設計一次エネルギー消費量の評価方法を援用しつつ、建物外皮、空気調和設備、換気設備、給湯設備等に関する設計及び施工に役立つ技術情報を「省エネルギー建築のための設計ガイドライン」にまとめました。今後は自立循環型建築として設計建設等実務者や政策⽴案者のための透明性が⾼く、わかりやすい技術情報の作成、情報発信を進めてゆく予定です。


自立循環型建築の設計に有効なポイント

  1. 空調設備の各構成部の容量設計は明確なルールに則って合理的に行うべきこと
  2. 空調設備の各部のエネルギー効率をより高いものとすること
  3. 空調設備の各部の部分負荷時のエネルギー効率向上のための対策をとること
  4. トイレや機械室等の換気が同フロアの居室の換気に及ぼす影響を最小限とすること
  5. 外気取入れ量安定化の対策をとった上で、デマンド換気により換気負荷を低減すること
  6. 竣工前に風量・流量の量及びバランスの調整、送風機・ポンプの出力調整を行うこと
  7. 外皮の日射遮蔽性能を確保したうえで、断熱性にも留意し特に冬期の室内温熱環境分布の均一化を図ること
  8. 外皮気密性の確保を図ること
  9. 高効率照明器具、タスク・アンビエント照明及び昼光利用制御の採用
  10. 給湯需要の多い建物における中央式給湯設備の高効率化の工夫
  11. 再生可能エネルギー源の導入
※国立研究開発法人建築研究所「省エネルギー建築のための設計ガイドライン」に基づく