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断熱外皮計画
目的
断熱化をはかり、冬の暖房エネルギーを抑制し自然室温を維持して適時適温を実現します。
効果
- 居室間歇暖房の場合
暖房エネルギーを 20~65%程度削減できます。 - 住戸連続暖房の場合
暖房エネルギーを 25~70%程度削減できます。
省エネ手法
断熱化を適切に行うために次の事項を検討します。
検討事項1:ライフスタイルの指向などの条件の確認と目標レベルの設定
住まい手のライフスタイル、住宅へのニーズなどを把握・整理し、目標レベルを設定します。

図 暖房室・非暖房室・外気の温度差(イメージ)
ポイント
断熱化をはかれば省エネルギー・省コストの効果がありますが、住まい手がどの程度の温熱環境を望んでいるのかを確認した上で、目標レベルを設定して下さい。
検討事項2:断熱計画の検討
住宅の断熱外皮計画の基本的な計画について検討します。
木造住宅の断熱方法
建物部位 | 断熱部位 | 断熱方法 |
---|---|---|
建物上部(屋根まわり) | 天井断熱 | 充填断熱 外張断熱(桁上断熱) |
屋根断熱 | 充填断熱 外張断熱 併用断熱(充填+付加断熱) |
|
外壁 | 外壁断熱 | 充填断熱 外張断熱 併用断熱(充填+付加断熱) |
建物下部(床まわり) | 床断熱 | 充填断熱 |
基礎断熱 | 外張断熱(基礎の外側または内側) | |
土間床断熱(玄関土間等) | ||
底盤コンクリート下 |
ポイント
木造住宅の断熱方法は充填断熱と外張断熱に大別されます。住宅の部位ごとに適した方法を選択することが大切です。
検討事項3:断熱性能の検討
外皮の具体的な断熱性能について検討します。
表 建物全体の性能値の検討方法
部位の断熱性能による検討 | 外壁の断熱材や開口部等を選択する際に、一定のレベル以上の断熱材や開口部を選択する方法 |
熱損失係数による検討 | 建物全体の断熱性能の指標である「熱損失係数」を計算する方法 |
年間暖冷房負荷による検討 | 熱負荷計算ソフトウエアを用いて、暖冷房負荷を計算し判断する方法 |
ポイント
部位の断熱性能による検討は、断熱材の熱抵抗値や開口部の熱還流率を一覧表から選択する簡易な手法ですが、建物形状および規模によっては、実際の省エネルギー性能に差異が生じる等の欠点があります。
検討事項4:防露措置の検討
内部結露防止措置について検討します。

図 断熱層の基本構成
ポイント
室内の水分が躯体内に浸入して起こる内部結露を防ぐために、室内側には連続して防湿層(防湿フィルム)を設置することが必要となります。(ただし、湿気容量の大きな土塗壁などを断熱材の内側に配した外壁では、防湿層の設置を省略できます。)

図a 床下断熱・天井断熱

図b 基礎断熱・屋根断熱
ポイント
構造体内の乾燥を促進させるため、外壁通気層、床下換気、小屋裏換気などを設け、断熱材の外側を外気に開放させます。

図 結露防止の観点から気密処理が必要とされる部位
ポイント
外壁や小屋裏の内部結露防止に不可欠な室内空気の流入防止措置は、木材や内装仕上げ材、防湿フィルム等の納まりに注意し、取合い部や内装材の貫通部に隙間を作らないことがポイントです。
検討事項5:各部位の施工方法の検討
気流止めの設置、断熱材の施工、各部位の断熱方法について検討します。

図a 浅木による通気止めの例

図b 防湿フィルムと押さえ材による通気止めの例
ポイント
壁内通気が生じると断熱性能の低下や湿害を引き起こすおそれがあります。そのため、外壁と間仕切り壁の上下端には通気止め材を設置することが必要になります(充填断熱の場合)。

図 外壁の防湿層付き断熱材の施工
ポイント
断熱材は、周囲の木枠との間に隙間が生じないように注意して施工します。防湿フィルム付き断熱材では、耳幅の大きな付属防湿層付き断熱材の使用が奨められます。
効果の達成方法の例
居室間歇暖房の場合、4段階のレベルで暖房エネルギー削減の効果が見込まれます。(6(Ⅳb)地域の場合)
レベル0 | 熱損失係数4.2W/m²K以下 (平成4年省エネルギー基準相当の断熱水準) → 削減効果 なし |
---|---|
レベル1 | 熱損失係数3.3W/m²K以下 (平成4年と平成25年省エネルギー基準の中間相当の断熱水準) → 20%程度 削減 |
レベル2 | 熱損失係数2.7W/m²K以下 (平成25年省エネルギー基準相当の断熱水準) → 30%程度 削減 |
レベル3 | 熱損失係数2.1W/m²K以下 (平成25年省エネルギー基準を超える断熱水準) → 45%程度 削減 |
レベル4 | 熱損失係数1.4W/m²K以下 (平成25年省エネルギー基準を超える断熱水準) → 65%程度 削減 |
トピックス : 断熱水準ごとの自然室温の違いについて
非暖房室でも、断熱水準が上がるほど外気温に対して高い自然室温(暖冷房設備を使わないときの室温)を維持できます。

図 断熱水準と自然室温の関係(1階便所)
トピックス : 体感温度について
居住空間における体感温度は、一般に窓・壁・床等の表面温度と室温の平均と考えられます。高い断熱水準の住宅では表面温度が室温に近づくので、低い設定室温でも体感温度の向上をもたらします。

図 室温・表面温度と体感温度