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省エネルギー改修効果の検証

断熱・遮熱・気密改修工事を実施することにより、温熱環境(体感温度、足元温度、冬季早朝の最低室温)の改善や、暖冷房消費エネルギーの削減による暖冷房費用の削減等、さまざまな改修効果を得ることができます。
これらの改修効果は、改修を実施する際に居住者が最も興味のある項目の一つであるため、施工者が居住者へプレゼンテーションする際の参考情報として活用してください。
ここでは、シミュレーションソフトを用いたケーススタディと、実験棟での部分断熱改修による実測検証からそれらの改修効果を推計します。

省エネルギー改修効果のケーススタディ(シミュレーションによる評価)

シミュレーションに用いた住宅の外観写真

図9:シミュレーションに用いた住宅の外観写真

ケーススタディでは、Ⅳ地域(主に首都圏)における1981年以前(昭和55年基準以前の建物で省エネルギー改修のボリュームゾーン)の仕様の住宅(図9)を、平成11年基準相当に断熱改修した際の熱損失係数(Q値)の改善度合いと工事概算費用を算出し、改修工事ごとの費用対効果を算出しました。(断熱改修に要した概算費用及び改修後のQ値とその改善値(△Q値):表4)

表3:改修前の住宅仕様と断熱改修手法
部位 改修前の住宅の仕様 断熱改修手法
屋根 和瓦 12.8 GJ
天井 繊維板 小屋裏から断熱材を吹き込む:ブローイングGW-2 t=200mm
GW10K t=25mm
外壁 ラスモルタル・リシン 外壁に断熱材を付加(既存の断熱材を活用):XPS(3B)t=50mm
GW10K t=50mm
内壁 化粧合板
開口部 アルミサッシ・シングルガラス 全ての開口部の二重サッシ化:既存アルミ・シングル+樹脂サッシ・シングル
フローリング 床下から断熱材を設置:GW 32K t=80mm
無断熱

 

改修効果(Q値改善値)の最も大きな部位は、③開口部の改修(全ての窓を二重化)であり、暖冷房エネルギーの削減率も最も大きくなりました。また、①天井へのグラスウールの吹込み(t=200mm)は約35万円で施工可能な工事であり、暖冷房エネルギーの削減率も窓に続いて効果の大きい結果となりました。これらの部位単位での改修は、費用対効果の大きな工事であるといえます。
一方、⑦のような全部位改修(天井・外壁・開口部・最下階床)を実施することにより、平成11年基準相当のQ値となり暖冷房エネルギー消費量も改修前に比べて35%削減される結果となりました。(図10) ただし、改修費用は約630万円となるため改修コストが掛る。

表4:断熱改修に要した概算費用、及び改修後のQ値とその改善値(⊿Q値)
A.部位改修 B.概算費用(千円) C.Q値(W/m²K) D.ΔQ値(W/m²K) E.エネルギー消費の削減量(GJ)
① 天井(手法4) 345 4.21 0.74 1.12(7%)
② 外壁(手法9) 3,161 4.53 0.42 0.54(3%)
③ 開口部(手法14) 1,956 4.14 0.81 2.38(15%)
④ 最下階床(手法10) 906 4.16 0.79 0.56(3%)
⑤ ③+④ 2,862 3.53 1.60 3.06(19%)
⑥ ①+③+④ 3,208 2.87 2.08 4.54(29%)
⑦ ①+②+③+④ 6,369 2.34 2.61 5.54(35%)
年間の戸当たりの暖冷房エネルギー消費量と削減率

図10:年間の戸当たりの暖冷房エネルギー消費量と削減率

計算諸条件

  1. 暖冷房運転スケジュール:居室に人がいる場合運転する設定。
  2. 暖冷房温度設定:暖房:18°C/冷房:28°C
  3. 暖冷房期間:暖房期間:11/11~4/17、冷房期間:6/16~9/11
  4. 気象データ:東京都の気象データを利用

部分断熱改修による効果検証(実験住宅での実測)

実験棟での部分断熱改修による実測検証では、LDKを部分断熱改修(天井・壁・床・窓)した後、温湿度を実測しその結果から、体感温度・足元温度差・暖房運転前の明け方最低室温・気流止の効果等の改修効果を示しました。(ここでの部分断熱改修とは、部屋単位や1階範囲のみの改修としている)

建物概要と断熱改修手法

図11:建物概要と断熱改修手法 [ 延床面積:134.98m²(1F:80.33m²、2F:54.65) ]

断熱改修手法の概要と工事費用

表5:断熱改修手法の概要と工事費用

実測結果による上下温度差

図12:実測結果による上下温度差

部分断熱改修の効果として、ここでは足元温度の改善について紹介します。暖房運転時における上下温度差(床上50mmと900mm)と室内外温度差の関係から、改修前は上下温度差が7℃に達しており足元がとても寒い状態になっていますが、断熱改修によって足元温度は3℃程度改善される結果となりました(図12)。